先輩、そこまでです。

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「未早は入学したばっかだもんな。勉強はどう?」 「勉強は……すいません」 「すいませんて。なに、難しいの?」 そこは正直に、自分の学力を越えてここに受験した事を伝えた。────それも全て、先輩に会う為だということも。 「はぁー、なるほどね」 先輩は自分の膝に頬杖をついた。不安だ。さすがに呆れられちゃったかな。 「まっ、何とかなるだろ。勉強は多分、俺も教えてやれるし」 「あ……ありがとうございます!」 「いーえ。それより、そこまでして俺に会いたいって思ってたなんて……何かちょっと照れるな」 「え、ここで失神しないでくださいよ」 「しないよ! もう覚悟は決めてるから!」 先輩はそう言ったけど。……覚悟って、何の覚悟だろう。尋ねようか逡巡してると、彼からあんまりな提案をされた。 「そうだ未早、R指定の作品は禁止な。漫画、小説、動画、全部だめ。もちろん同人誌もだめ」 「え! それじゃ俺は、研究室で何をしたらいいんですか!?」 「だから、非エロを読みな」 「そんな……ヒエログリフなんて読めません!」 驚いて言い返すと、先輩は呆れ顔でサンドイッチを頬張った。 「ばか、エロ無しって意味だよ。非エロはBLに限らず使ったりもするけどな」 「すみま……お、俺は無知です。だから、もっと色々見て勉強を……」 「いやいや、エロい勉強してる暇あったらお前はテスト勉強しな。とにかく、絶対18禁は見ない! いいな?」 先輩の念押しが強いから、その場は素直に頷いた。 それから昼休みが終わり、教室に戻ったけど……冷静に考えると、何か段々むしゃくしゃしてきた。 先輩は俺に性知識が無さすぎると言う。だからもっと詳しくなろうと思ってんだけど、そっち関係を調べようとすると怒る。 それは矛盾してないか? 制限されたら詳しくなれるわけないのに。先輩は結局のところ、俺にどうしてほしいのか分からない……。 放課後、俺はその事を泉名会長に相談した。 「なるほど、大体話はわかったよ。未早はエッチなものが見たくてしょうがないんだね」 「確かにエッチなやつが見たいんですけど、別に私利私欲を満たすやらしい目的ではなくて……説明に困るんですけど、今後の為にも見なきゃいけないと思ったんです」
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