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─────それから9ヶ月後。
身長49.5cm、体重3058g。
陣痛を感じてからおよそ8時間後に、私は立派な男の子を出産した。
純平は産まれてきた我が子を見たとたんボロボロと泣きまくった。
こんなに泣くお父さんは初めてだとベテランの助産婦さんが苦笑したほどだ。
でも……
私はそんな純平を見て、この人となら一生やっていけるって思ったんだ。
名前は純平から一字もらって、純太と名付けた。
我が子というのは本当に可愛い。
子供が苦手だとか言っていた私はどこへやら……
純太の一挙手一投足が可愛くって仕方がない。
当たり前のことだが子供って母親をなんの疑いもなく信用してくれて頼ってくれるんだよね。
それがもう全身から愛くるしく伝わってきて……
この子のためならなんでも出来るって思った。
「麻里ぃ今、パパって言った!純太が俺のこと見てパパって言ったぞっ!」
早いよ…まだ生後2ヶ月だっちゅーの。
純平は親バカが炸裂していて見てて飽きない。
「聞いたか?今、パパちゅきって言ったぞ!」
「はいはい。良かったね〜。」
「うん、なんだ?ボク妹が欲しいって?わかった。今夜パパ頑張るから任しとけっ。」
……赤ちゃん相手に何言ってんだか。
二人目はさすがにまだお預けだからねっ。
「なあ麻里ぃ〜そろそろさあ…ダメ?」
純平がおねだりするように体をすり寄せてきた。
妊娠が発覚して以来、まだ1回もしていない。
純平はあの時の宣言通り、仕事に家事に育児にと毎日目が回りそうなくらい頑張ってくれている。
今は私が育休を取っているからそんなにしなくても大丈夫だと言っているのに、私が止めないと本当に全部やりそうなくらいの勢いなのだ。
「じゃあお風呂入ってくるから。純太のこと寝かしつけといてくれる?」
「やったあっ!」
純平はスキップしながら寝かし付けに行った。
疲れているはずなのに……
どうやら純平にとって夫婦の営みは別腹のようだ。
純平猿はまだまだ健在だ。
なんだか久しぶり過ぎてドキドキするな……
今夜は寝かせてくれるのだろうか。
念入りに体を洗いお風呂から出ると、家の中は静まり返っていた。
あれ?飛び付いてくるかなって思ったのに……
寝室をそっとのぞくと純平は純太を腕に抱きながらスヤスヤと眠っていた。
「……二人とも寝顔そっくり。」
ホント…見てて飽きない………
私を癒す、間抜けな寝顔が
もう一つ増えた─────
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