抜け道

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森の国のあるじの夕食は、とても質素なもので、今日の夕食は、野菜や肉のブラウンシチューとパンだった。 それでも、三度三度暖かい食べ物が運ばれてくる。ある意味贅沢かもしれない。 「冷蔵庫にハムとキュウリと卵があったから、すぐに食べられると思って持ってきたわ。食パンで、サンドイッチにして食べましょう。あ、リオン、マヨネーズ持ってきた?」 「あれ?お母さんが持ってきたんじゃないの?」 「なんだか、ものすごく慌ててご飯を持ってきたんだね。」 カイトは面白そうに笑っている。こんなに楽しい夕食は久しぶりだ、みんなに会えて良かったとカイトはしみじみ思った。 「ちょっと私、マヨネーズとってくるわ。」 リオンがそう言うと、 「おいおい、うちにもマヨネーズはあるぞ。冷蔵庫も。」 カイトがそう言って、階段の下を指差す。 「お父さん、ここは昔ながらの生活を受け継いでるんじゃなかったの?」 リオンが不思議そうに聞いた。 「あははは、そうだけど、環境に影響のないものなら使っても良いことになっているんだよ。」 ここの住人がワークランドに行ったついでに発電機や蓄電池を買ってきてもらい、結構便利になった。 「もちろん、昔ながらの生活を頑固に守っている人たちもいるけど、うちはリオンとお母さんに急に不便な生活はさせられないからな。」 「あなた、ありがとう。あそこに電子レンジまであるのね。ずっとキャンプ生活をするのかと思っていたわ。」 ミサコはホッとして言った。
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