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「私達も朝食を食べましょう。」
ミサコはリオンと手際よくパンをトーストして、前日に作っておいたツナサラダとヨーグルトを冷蔵庫から出した。
「私はコーヒーにするけど、リオンはミルクで良いのかしら?」
「はーい、そうでーす。」
こちらでいることが多くなったリオン達は、食料をカイトの家の冷蔵庫に保管するようになっていた。
楽しくおしゃべりしながらの朝食。やっと家族との日常の幸せに3人とも慣れてきたところだ。
ミサコは今日は仕事があり、正午の太陽の祭事は見ることはできない。残念そうに出勤していった。
リオンは食事の後片付けを終え、カイトが出掛けるまでテーブルについてボーッとしていた。
゛そういえば、お父さんの次の主って誰なんだろう?゛
リオンはふと思った。
父親に家族はいるのだろうか。
リオンには他に家族や親戚がいるのだろうか?
大事な祭事の前なので、リオンはカイトに聞きたいのをグッと我慢した。
午前11時半。カイトが出掛ける時間になった。
リオンが椅子から立ち上がると、丁度カイトが現れた。
「リオン、出掛けるよ。」
カイトはリオンをつれて、朝と同じ広場へ出掛けた。
リオンは、朝と同じくやぐらの下で父親を見守っている。
正午の時報と共にカイトが立ち上がり両手をあげると、真上の空から一筋の光が差してきた。
その光はやぐらの上のカイトをめがけてきたかと思ったら、一瞬でカイトを包み込む。
その状態が5分以上続き、リオンが父親を心配し始めた頃に光は消えてなくなった。
そして、カイトは清々しい顔をして、やぐらを降りて来た。
「お父さん、大丈夫?」
「ああ、大丈夫だよリオン。」
「なんだか不思議な祭事なのね?」
「これは昔から伝わる大事な祭事だ。これがないと、森の国はなくなってしまうんだよ。」
カイトは心配するリオンを安心させるため、祭事について説明することにした。
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