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カイトはリオンに太陽の祭について話はじめた。
「この森の国は、昔ワークランドの中にあったんだよ。
とは言っても、何百年も前のことだ。」
森の国は数百年前にワークランドの中にあった。山奥の森に囲まれた大きな村だった。
この村は豊かで住みやすく、村人はみんな心安らかに暮らしていた。
ところが、そこへ町から来たもの達がこの村を乗っ取ろうとした。
この村には昔から太陽を信仰する習慣があり、村人みんなでこの村を守ってくれるよう太陽の神に祈った。
その願いを聞いた神は、村ごとよそから来たものは入り込めないように森の国を不思議な空間に移したのだ。
「それから私たちは、この森の国へ土地ごと移動することになり、この空間を保つために主となった者が太陽の神から大事な役目を仰せつかっているんだ。」
「ちょっと映画になりそうな話だけど、それが本当なんだものね。
私は慣れるまで時間がかかりそうだけど。」
「急いで受け入れなくても大丈夫だよ。ここでの暮らしがリオン達にとって幸せなら、私も幸せだから。」
話が終わった頃、東さんが遅い昼食を届けに来てくれた。
「あるじ、昼食をお届けに来ましたよ。」
「いつもありがとう、東さん。今日は夏至だ。昔なら今日が太陽の祭の日だったね。」
「そうですね。この後で村のみんなで食事をして踊って歌って大騒ぎ。今は日曜日が祭だから、それまであるじはゆっくりと過ごされてくださいませ。」
さあそれではと挨拶をして、いつも通り東さんはゆっくりと家に戻っていった。
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