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リオン達が敷物に座って食事をしていると、誰かが近寄ってきた。
リオンが顔をあげると、
「やあ、小早川さん。」
そこには先ほど見かけた顔があった。
「あ、こんにちは。どうして守山さんがここに?」
「僕も森の国の出身だよ。僕のおじいさん達も昔からワークランドで働いていたので、いつもはそっちに住んでるんだ。」
リオンはワークランドで、食品製造の会社に事務員として仕事をしている。
守山はリオンと同じ会社で製造部にいた。
そう大きな会社でないので社員は皆顔を知っているのだ。
リオンの母親は自己紹介をした後で、リオンに一緒に食事をするように勧めてみた。
「あのー、もしご迷惑でなければ一緒に食べませんか?」
「あー、ありがとうございます。でも、ちょっと昔馴染みと話してきたいので、また後で。」
守山はそう言って、さっさとどこかへ行ってしまった。
それから2~3時間の間、飲めや歌えの大騒ぎが続き、時間がたつと共に、回りの人たちは少しずつ家に帰り始めた。
お腹が一杯になって満足したら、後は自由解散のようだった。
その頃にはカイトもリオン達のところに帰ってきて、
「そろそろ帰ろうか?なれないところで疲れただろ?」
「大丈夫よ、あなた。久しぶりに広々としたところでゆっくりして、なんだか元気になったみたいだわ。」
「キャンプに来てるみたいだったよ、お父さん。そうだ、お父さん。私と同じ会社の人がいたのよ。ビックリしたわ。」
「ああ、話は聞いてるよ。守山くんだろ?彼には私がリオンに会えなかった頃、時々様子を伝えてもらってたんだよ。」
そんなこととは知らなかったリオンは、心の中にぽっかりと空いていたスペースに父親からの愛情が注ぎ込まれたような気がした。
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