主(あるじ)

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「私カレーライス大好き。お父さんは?」 「私もカレーは大好きだよ。」 「それじゃあ、後で食べてみる? あっ、ここの物しか食べられないんだっけ?」 「一回くらい食べても大丈夫だよ。 いつもになるとダメだけど。」 そうこうしていると、ミサコも会社から帰ってきた。 「ただいまー。 今日はカレーね、美味しそう。」 「さあ、みんなで夕食だね。」 嬉しそうにカイトは言った。 主の食事を食べた後で、カイトはカレーライスをペロリと食べた。 「ごちそうさま、とっても美味しかったよ。また今度食べたいなー。」 「うん、また今度食べようね。」 ミサコ達は食事の後片付けをしながら、おしゃべりを楽しんでいた。 その時リオンは思いきってカイトに聞いてみた。 「お父さん。 私この間から気になっているんだけど、お父さんの次の(あるじ)ってもう決まっているの?」 「ああ、もうずっと前に決まっているんだよ。 本当なら私の子供が次の主になるのだが、リオン達とはずっと会えなかっただろ? だから、遠い親戚の男の子が選ばれたんだ。」 カイトの言葉に内心ホッとしたリオンだった。 急に主になれと言われても、主になれば森の国から出られなくなる。 ワークランドで育ったリオンには少し窮屈に感じたのだ。 「ふーん。私の知ってる人なの?」 「私も知りたいわ。」 ミサコも気になった。 「それは、私と次の主の家族しか知らないんだよ。 そうしないと、この国の秩序が乱れるからね。」 興味半分で聞いていたリオン達は、背筋をピンと伸ばしてカイトの話を真面目に聞くことにした。 「この話は、私が死んでからのことだから今話すことでもないから。」 少し悲しそうに話すカイトにミサコは、 「あなた。もういいわ。 何か他の楽しいことをはなしましょ。」 と提案した。 「お父さんごめんなさい。なんだか私変なこと聞いちゃって。」 リオンはハッとして、そう言った。
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