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森の国の祭
ワークランドでそろそろ夏至を迎える頃、森の国では太陽の祭が行われる。
夏至の日からすぐの日曜日にそれは行われる。
昔は夏至の日に太陽の祭を行っていたが、住人達が出稼ぎに行くようになってからは休日に行うようになったのだ。
ただし、あるじは夏至当日に日が昇るとともに祭事を行うことが決まりになっている。
相変わらず、リオンとミサコはカイトの家に入り浸っていた。カイトがいなくなっていた時間を取り戻すように、何気ない暮らしを楽しんでいた。
「今度森の国の祭があるんだけど、来るかい?
夏至の日に太陽の祭の祭事を行って、その後の日曜日に住人全体の祭があるんだ。」
カイトが説明すると、
「夏至の日っていつだっけ?」
リオンがカレンダーを調べると、1週間後だった。
リオンとミサコはほとんど森の国の家に来ていたので、朝早くからの祭事をみることができた。
日の出前に起き出したカイト達は、祭事を行うための広場にやって来た。
前日に広場の真ん中にこしらえたやぐらには、カイトしか上がれないことになっている。
やぐらの祭壇に花を飾り、果物や野菜を供えた後、カイトは日の出を待つ。
日が昇ってきた瞬間カイトはひれ伏し、今までの平安を感謝した。
少しするとカイトはやぐらから降りてきて、
「後は、12時丁度にもう一度ここに来るんだよ。」
そう話ながら、家族みんなでカイトの家へ戻った。
食卓につくやいなやリオンはカイトにたずねる。
「他の人たちはやってこないの?」
「日の出の祭事と太陽の祭事は、主だけの仕事だからな。
他の人たちもそれぞれ自分達の仕事があるだろ。」
そうしているうちに、主の朝食が運ばれてきた。
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