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 さあいよいよ日曜日、太陽の祭の始まりだ。 出稼ぎに出ている村人達も今日という今日は、この国に戻ってきている。リオンも今日は少し無理を言って会社にお休みをもらっていた。 午前中は、村人みんなで広場の飾りつけや昼食の用意をして過ごした。 正午前になると夏至の日と同じく、カイトは捧げ物を祭壇に飾ったやぐらに登って行った。 それと同時に、村人達がやぐらの回りにぐるっと輪になってカイトの方を見ている。 リオン達もその中にいた。 リオンはどこかから視線を感じて、その方向を見ると見覚えのある顔があった。 正午の時報が聞こえ、リオンはカイトの方へ視線を写した。 太陽の祭がはじまる。 カイトは天に向かって両腕を挙げ待っていると、そらからまた一筋の光が降りて来た。 今日は夏至の日の何倍もの光が降りてくる。 はじめはカイトの手から体を光が包み、そしてやぐらを伝って広場全体を優しく包みこんだ。 やはり、5分位すると光は収まり消えていった。 リオンはとても清々しい気持ちになった。 その後、やぐらを囲んでそれぞれの家族が敷物を敷き、みんなで作った昼食を食べ、酒をのみ、躍りを躍り、騒いでいる。 「リオンもミサコも、さっきの光を浴びたらワークランドとここを自分で抜け道をつくって自由に行き来できるはずだから、後で試してみるといいさ。」 そうカイトは言うと、他の場所に一人で歩いて行き、村のみんなと楽しそうに話したりお酒を飲んだりしている。 本当に楽しそうで、リオンもミサコも思わず微笑んだ。  
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