主(あるじ)

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主(あるじ)

 朝になりカイトが目を覚ますと、ミサコとリオンは朝食の準備をしていた。 「お父さん、おはよう。」 「ああ、リオンおはよう。 ミサコおはよう。 みんな良く眠れたかい?」 「おはよう、あなた。 しっかり眠って疲れはとれたようね?」 東さんがカイトに先程朝食を運んできてくれ、本当にいつも有りがたいとミサコはお礼をのべた。すると、東さんは務めだからと、とても謙遜していた。 「さあ、食事にしよう。いただきます。」 「いただきまーす。」 今日もおいしく朝食をいただき、リオンとミサコは元気に出勤していった。  リオンが会社に出勤すると、丁度守山くんも出勤してきたところだった。 「昨日はどうも。 小早川さんは、楽しく過ごせましたか?」 「はい、とても面白かったです。みんな踊って歌って、弾けてましたね。」 「毎年あんな感じで、みんな賑やかに過ごすんだよ。僕も楽しみにしてるんだ。」 話はつきないが、そろそろ始業時間のチャイムがなる。 チャララ―ン、チャララ―ン。 「じゃ、また。」 慌ててそれぞれの部署へ走っていった。  今日の仕事が終わり、会社からワークランドの家に帰ったリオンは、すぐに2階の抜け道からカイトの家に戻ってきた。 最近ワークランドの方の家は、まるで仮の宿のようだ。 リオンは、 「お父さん、ただいまー。」 と言って台所におりていった。 「お父さん!何やってるの?」 なんと、(あるじ)自らリオン達の夕食を作ってくれていた。少し苦労しているようで、リオンに助けを求めている。 「手伝います。何しましょーか?」 「あ、じゃあ、この野菜と肉を炒めてもらえるか?カレーを作ってるんだ。」 「はい、じゃあ後は私がつくるね? お父さん、ありがとう。先に食事をしてくれてていいのよ? せっかく東さんが暖かい食事を持ってきてくれるんだから。」 「そうだけど、みんなと一緒に食べたくてね。」 カイトは食卓の椅子に腰かけて、リオンがカレーを作るのをニコニコしながら見ていた。
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