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【第二話:鶴の恩返し】
山へ出掛けたお爺さんは或る日、罠に掛かった鶴を助けます。
その晩、お婆さんと二人住んでいるあばら家に、それはそれは美しい女性がやって来ました。
女性は言いました。
「道に迷ってしまったので、今晩泊めて頂けませんか」
老夫婦は快く受け入れ、女性は一晩泊まりました。
明くる朝、女性はお礼に機織りをすると言います。
しかし、女性は妙な事も言いました。
「私が機織りをしている所を、どうか見ないで頂きたいのです」
老夫婦は暫く約束を守っていましたが、或る日どうしても気になってしまって、とうとうその向こうを覗いてしまいました。
すると驚くなかれ、機織りをしていたのはあの女性ではなく、鶴ではありませんか。
鶴は悲しそうに言いました。
「私はいつか助けて頂いた鶴です。あの時の恩返しと、機織りをしておりました。しかし私の正体が知られてしまった以上、此処に居る事は出来ません。さようなら……」
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