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【第五話:オオカミ少年】
「オオカミが来たぞー!」
羊飼いの少年が、慌てた様子で村に来て、そう叫びました。
普通なら、村人たちは一目散に牧場へ行くのですが、だあれも相手にしません。
それもその筈、この羊飼いの少年は嘘つきな事で有名で、前にも何度かこの事で村人を騙して楽しんでいたのです。
村人は皆うんざりしていました。
「本当にオオカミが来たんだよう」
少年が一人の村人にすがって言いました。
その目は潤んで、今にも涙がこぼれだしそうです。
しかし村人は、やれやれ演技が上手くなりやがった、としか思いませんでした。
村人は少年を振り払って、その場を足早に後にします。
その頃牧場では、大勢のオオカミたちが、飼われている羊を片っ端から食い荒らしているのでした。
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