【第五話:オオカミ少年】

1/2
40人が本棚に入れています
本棚に追加
/201ページ

【第五話:オオカミ少年】

「オオカミが来たぞー!」 羊飼いの少年が、慌てた様子で村に来て、そう叫びました。 普通なら、村人たちは一目散に牧場へ行くのですが、だあれも相手にしません。 それもその筈、この羊飼いの少年は嘘つきな事で有名で、前にも何度かこの事で村人を騙して楽しんでいたのです。 村人は皆うんざりしていました。 「本当にオオカミが来たんだよう」 少年が一人の村人にすがって言いました。 その目は潤んで、今にも涙がこぼれだしそうです。 しかし村人は、やれやれ演技が上手くなりやがった、としか思いませんでした。 村人は少年を振り払って、その場を足早に後にします。 その頃牧場では、大勢のオオカミたちが、飼われている羊を片っ端から食い荒らしているのでした。
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!