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さらなる高みへ
「だって、いろんな人間になれるんだぜ?」
振り向いたそいつの楽しそうな、弾んだ声。
キラキラ輝く眩しい瞳。
寄り添うあいつも、隣のこいつも皆笑ってる。
「ヒーローだって悪役だって、魔法使いだってなれるよ?」
「そんな楽しいことないだろ?」
いつの間にか私を取り囲むようにして集まっていた彼らは、
場違いだと縮こまっていた私を一瞬にして引き込んだ。
華やかで、残酷な世界へーーー。
やがて月日が経ち、彼らは散り散りになり、
私だけが【この世界】に取り残された。
彼らは、もういないというのに・・・彼らの声は私に囁き続ける。
【そこが本当に目指した場所か?】
【その輝きがすべてなのか?】
そうじゃない。
なら、この空虚さは何なんだ・・・。
【何もかもが空虚。ーーーそうだろう?】
今夜も、月の光が重くのしかかる。
もう誰もいない・・・。
ーーー私は輝けないんだ。
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