二章 山賊退治

37/42
前へ
/75ページ
次へ
そしてその可能性は──非常に高い様に思われた。 ケレスは途中で途絶えたランディスの言葉にはガン無視をして、更にアスタルに『世間話風』の、しかも今この時に必要であろうかという話をする。 「それにしてもワイズ国のアルケット王子。 あのお方は中々の奸物でございますぞ。 甘いマスクに気を取られると足を掬われます。 十分にお気をつけ召されませ」 言っている。 おいおい、じいさん、その話、今必要か? 半ばげんなりしつつ心の内で突っ込むランディスとは裏腹に、アスタルはあくまで呑気に「あら、」とケレスの言葉に乗っかる。 「じいはアルケット王子に会った事があるのですか?」 単に噂を耳にしたという雰囲気ではなかった様に思えてアスタルが問うと、案の定「まだあの方が七つの頃に一度」と答えが返ってくる。 エスメラルダやランディスなどはその答えに『なんだ、そんな昔の、それもただ一度会っただけの事か』と一旦は軽く受け止めたのだったが。 ケレスは思いの外 元・伝説の宰相らしい真面目な口振りで続ける。
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加