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梛新部長は私の作った資料を見ながら眉間にしわを寄せた。
「夏本、一人一人にもっと仕事を割り振れるだろう? 仕事終わりに話がしたい、定時に上がって時間を取ってくれ」
「わかりました」
私の方にも色々と聞きたいことがある。まず、大きな疑問は、どうして梛君がここにいるのかということだ――
私は頭を抱えながらその日の仕事をこなし、久しぶりに定時上がりをした。約束の店に向かうと、梛君はすでにやってきていた。同じ会社から来て、梛君の方が遅くに帰っただろうにいったい、どんな手を使ったものかと頭をひねる。
「まずは乾杯しよう」
「いえ、仕事の話をするならお酒はなしで」
「俺の歓迎会だろう?」
「それ、週末に予定してますから」
「おまえ、相変わらずだなぁ……まあいいか、俺は飲むけど」
「私はウーロンで」
オーダーしたウーロン茶が運ばれてくると、梛君はビールのグラスをぶつけてくる。
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