実葛~望まぬ再会~

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 あの日は、私が取り乱したからいけないのだ。私に太亮のことを忘れさせるために、梛君は私を抱いたのだろう。  そこに、なにか特別な感情があったわけではない。あっては、いけない。  まるで、出口のないトンネルのなかにいるみたいだ──  私の恋には光は見えない。 「あと、九ヶ月の辛抱だから……」  そもそも、梛君の行動が理解不能だ。彼の行動に他意はない、振り回されてはいけない。一人で騒いで馬鹿みたいだ。  暗い車窓に映る疲れた自分の顔を見て、私は苦笑いをした。
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