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その疑問は、出社するとすぐに判明した。
「夏本主任、ちょっといいですか?」
デスクに着くとすぐに人事課の人に呼ばれた。そこで、梛君がどういう状況になっているのかが鮮明になっていく。
「梛部長、アメリカの会社の方で問題があって招集されたんです。梛部長不在の間に不祥事があって、その解決のために呼ばれて、うちとの契約を半年も早く切って帰ってしまったんです」
「そう……ですか」
「新しい部長が決まるまで、広報部のことは夏本主任に一任すると言われているのですが、お願いできますか?」
「は、はい、わかりました。部長から仕事内容はきちんと教えていただいていますので」
「助かります、新部長は春までに決定されると思いますので」
梛君は、アメリカに帰ってしまった――もしかしたら、金曜日の時点で帰らなければいけないことがわかっていたのかもしれない。それで、私を連れだしたのかもしれない。あのマンションで、一人で過ごせるわけがないじゃないか。
淡々と、仕事に没頭しながらも、私は心の中で泣いていたのだと思う。夜、誰もいなくなった部署を出るときに部長のデスクに向かって悪態をついた。
「大嫌い」
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