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今日は課長が車を出してくれて運転手なので一人で飲みます。目の前ですみません、ご馳走様です。
「詳しいな」
「一時、料理にハマってよく作りましたから。肉まんなんかは今でも得意ですよ。湯包、小籠包は難しくてとても無理」
「すごいな、生地から作るのか」
「むしろ他になにを作るんですか」
聞かれるままに作り方など披露したけれど、退屈する様子もなく楽しげに聞いてくれる。途中で入れる相槌が絶妙で、つい話しすぎた気もする。
ビールで軽く酔ったこともあってかなんだか楽しくなった。
――慣れていないはずの人といて、こんなに自然に 「楽しい」と思えるのは本当に久しぶり。
もう、どうして課長と一緒にとか考えるのも面倒になって、目の前の食事に集中する。美味しいごはん、楽しい空気。小さな疑問やモヤモヤなど、勝てるわけがない。
デザートは杏仁豆腐と温かいジャスミンティー。定番コースはやっぱりこれで締めたい。
「課長、昨日のお店といい、美味しい店をご存知じなんですね」
「友人にこういうの探すの好きな奴がいてな。けっこうハズレがない」
「素敵なお友達……」
ほう、なにそれ、羨ましい。ぜひ私もお友達に。
「残念ながら、デザート系は範疇外なんだが。もう少し寒くなったら鴨南蛮の旨い店もある」
「鴨!」
「はは、楽しみにしてろ」
え、あれ、今ナチュラルに冬まで予約された? ああ、でも、鴨南蛮……。
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