ループ

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ループ

 自分の叫び声で目が覚めた。汗がびっしょりだった。そして、また自分の部屋にいることに気づいた。そして慌てて時間を確かめる。するとまた11月15日6:12と表示されていた。そして、その整理がつかない間に母さんが慌てて 「健二、どうしたの?」 と聞いてくる。しかし、答えられない。動悸が治まらず頭を整理するのにいっぱいだった。 「大丈夫?どっか痛いの?救急車呼ぼうか?それとも、お父さんに電話した方が…。」 と母さんの方が次第にパニックになっていくため、逆に少し落ち着いてきて、 「ごめん。母さん。落ち着いてきた。大丈夫。」 と声をかける。 「本当に?すごい叫び声と今もすごい汗よ。」 「うん。嫌な夢見たからかも。でも、大丈夫。」 「それならいいけど…。とりあえず、水持ってくるわね。」 「ありがとう。」 母さんがバタバタと部屋を出ていく。どう説明したらいいかわからないが、確実に東條は殺されていた。そして、俺はそれを二回見ている。そんなことを母さんに話したところで信じてもらえるわけがない。というよりはまだ俺自身がそれを信じきれていなかった。そこに母さんが水を持って戻ってくる。それを受け取りつつ、 「母さん、今日は何日?それと、ここ最近であの商店街の交差点で殺人事件何で起きてないよね?」 「殺人事件?そんなの起きてたら知らないわけないでしょ。そんな夢を見たの?それと、今日は15日よ。」 「そうだよね。ありがとう。」 と言って水を一気に飲み干す。その二つが確認できれば十分だった。詳しいことは分からないが、俺はループしていた。そして、それはあの商店街の交差点で東條が殺されること。戻るのは11月15日6:12。今俺が分かるのはそれだけだった。 「ただの夢じゃないのか…。」
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