一握りの勇気

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 と意気込んではみたはいいものの、最大の壁にすぐぶち当たった。それはどうやって東條をあの場所から遠ざけるかだ。一番簡単なのは、その日に東條を誘って違う場所に行くことだが、俺にとってはそれが一番難しいことであった。 「そんなもん、デートに誘ってるようなもんじゃないか…。」 と頭を抱える。うーん、どうにかして遠ざけなきゃいけないのだが…。何かいい方法はないか。そんなことを考えながら、帰宅していた。  家に着くが、何もいい案がいい理由が思いつかない…。 「あー、もう。」 自分でも情けないと思いつつ頭をかく。そんな時着信があった。画面には『霜山 匠』と表示されている。電話なんて珍しいと思いつつ、 「もしもし?」 「お、健二。今、大丈夫か?」 「珍しいな。どうした?」 「いや、俺も用があったから先帰っちゃったけど、今日のお前の様子おかしかったじゃん。なんかあったのかなと思って。」 さすがに親友だ、と感心する。 「そうか?」 ととぼけるが、 「いや、今日のは誰から見たって変だったぞ。なんかあったのか?」 「うーん、ないと言えば嘘になるんだが、どう話したらいいのかも分からない。」 と正直に伝えると、 「そうか。話せるようになったら言ってくれ。それまでは、待つよ。」 と言ってくれる。思わず笑みがこぼれる。俺は匠のこういうところが好きだ。 「ありがとう。話せる時が来たら必ず話す。」 「おう。そういえばさ、知ってるか?一週間前にあの商店街に取材が来てて18日に放送されるんだってよ。」 そういや、母さんがそんなこと言ってた気がする。 「急にそれがどうしたんだ?」
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