違和感

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違和感

 自分の叫び声で目が覚めた。汗がびっしょりで、身を起こして少しするまで自分の部屋であることすら意識できなかった。そして、母さんが血相を変えて部屋に入ってきた。 「健二、どうしたの?」 「いや…。」 とまだ整理もつかず言葉にできないでいると、 「すごい汗よ。そんなに嫌な夢でも見たの?」 と言われてようやく思い出した。俺の目の前で東條が刺されたのだった。しかし、今いるのは自宅のベッドだ。かろうじて、 「今…、何時…?」 と聞くと、 「6:12よ。お弁当作ってたら、あなたの叫び声がリビングまで響いてきて驚いたわよ。」 弁当?と不思議に思いながらベッドサイドのデジタル時計に目を向けるとそこには11月15日6:12と表示されていた。 「え…?」 と思わず声を漏らした。確か今日は18日だったはず。それが15日と表示されている。 「母さん、今日って18日だよね?」 「へ?何言ってるの。今日はまだ15日よ。本当に大丈夫?熱でも測ろうか。」 と言って、母さんは一度部屋を出て行く。しかし、俺の混乱は収まらなかった。東條が刺されたのは夢だったのか…。それに、あの日は18日だったはずなのに。それとも今が夢なのか?訳がわからなかった。母さんが体温計と水を持って戻ってきたところで、 「母さん、最近あの商店街の交差点で人が殺されるような事件ってなかったよね?」 と興奮を抑えられぬまま早口で尋ねる。 「え。さっきからあんたは何言ってるの。そんな事件あったら知らない訳ないじゃない。」 「じゃあ、ないってことだよな?」 「だから、そうやって言ってるじゃないの。とりあえず水飲んで体温測りなさい。」 と言って、水の入ったコップを手渡してくる。それを一気に飲み干して、 「よかったー。」 と言う。
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