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「やりたいことがあるからなんだ。」
「やりたいこと?」
「そう。」
と言って、教室の後ろに行き如雨露を持ってこちらを振り向く。
「お花の水やり。」
と満面の笑顔で言ってくる。
「え、それって東條の仕事なの?」
「仕事ってわけじゃないよ。私がやりたくてやってること。それに朝の静かな学校って結構好きなんだ。」
「それじゃあ、朝の時間を俺が邪魔しちゃったかな?」
「そんなことないよ。驚きはしたけどね。ちょっと水入れてくるね。」
とはにかみながら教室を出る。改めて、いつもの東條であり初めて知る東條の姿に出会えて嬉しかった。そして、水を入れて戻ってきた東條は丁寧に教室の観葉植物達に水をかけていった。その姿を眺めているとその視線に気づき、
「佐久間くんもやる?」
と何を勘違いしたのか水やりの誘いをしてきた。
「いや、偉いなーって感心してたとこ。」
「そんなことないよ。好きでやってるだけだもん。」
「好きでもなかなかできないよ。俺は朝早く起きるなんて無理だもん。」
「あはは。じゃあ、今日は貴重だね。」
「もう二度とないかもしれません。」
と言って二人で少し笑いあった。
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