第一色・―この赤に至るまで―

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 今夜、倉庫に着いた時には三個の芸術になりそうな候補があった。  一個は縛り、二個は吊るし、三個は凍らせておいたのだが、失敗だったかも知れない。  縛るのは良い。ちが黒くならないように、まだ生のまま、元気に動いているから。  吊るすのもまぁまし。だって、ただ両手を横に引っ張っているだけだから、何か喚いて五月蝿いけど、まぁ、まし。  凍らせたのが多分失敗。きっと全身が青くなって、もう興味も失せてきたから、赤くないから、棄ててしまおうか。  一個、縛ったところを外してからそこを切る。  赤がぶわぁっと出てきて、泣き出したのが耳障りだけど、きにせずにいきます。  さぁ、次だ。  両脚。切断。あか。  い。  うで、を切り離して脚をつけて、そしてお腹に頭をかざりましょう。  さぁ、芸術一個。出来上がりです。  二個、吊るしてます。  結構高いところに。  だから、アキレス腱を切って、ボタッと赤い色に地面を染める。まっかな池が溜まりました。  困った。  黄色が混ざった。  ムカついたから、こいつも失敗にしましょう。
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