第一色・―この赤に至るまで―

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 毎日毎日、くる日もくる日も観察して、得られたのは、この刑事にも五歳の息子がいるという事。  とても幸運だった。  降って湧いたような嬉しい偶然に、五歳のボクは喜びを禁じ得なかった。  だって、刑事の息子なんて、とてつもなくうってつけの後継者じゃないか。  だから決めた。  刑事とその妻を目の前でコロして、こいつを後継者にしよう。  そしたらまたボクが作れる。新しいボクはまた、新しいボクを作ってくれるだろうか。  不安で堪らないけれど、やるしかありません。  ボクは五歳だけど、やる時はちゃんとやります。  刑事の家は分かっています。間取りも調べてきました。妻のいる時間、刑事が帰る時間、五歳が起きている時間、全て知っている。  さぁ、殺戮の時間だ。  赤を、作ろう。  五歳のヒトは悪くない。  赤を消そうとする連中が悪い。  げいじゅつをコワソウとする連中がワルい。  ワルい。  ワルい。  だから、コロします。  まずは妻。五歳を、身を挺して庇った。無駄。  刑事。抵抗したけど、げいじゅつをつく、るヒト、の前では、むいみ。  さぁ、仕上げは五歳だ。
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