第一色・―この赤に至るまで―

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第一色・―この赤に至るまで―

 初めてその色を見たのは、多分五歳くらいの時だった。  よく覚えていません。  子供の頃だった。  突然赤い人が現れて、両親が無惨にも目の前でコロサれた。  多分赤いのは、最初からじゃなくて、多分、多分、両親がシンでから。  だったとおもいまス。  その人に身体中赤い色を塗られて、鉄臭い臭いが染み付いたのだが、意外と気持ち悪いとか、嫌だとかはオモわなかった。  とにかく、今まで感じた事のない、言い知れない気持ちがその人に対してわいたのだ。  ボクは、だから、その人を信仰した。  言われたから。  ボクは選ばれた。その人に。これからボクは、赤い色に執着します。  そして、全てを赤い色に染める。  選ばれたのは、その役目を受け継ぐためだ。  両親は、ギシキのために殺された。  尊い犠牲なのです。  五歳です。  五歳ですから、ボクはナニをしても疑われません。疑われないように、仕組みます。  芸術を世界に広めるために、もっと赤を、もっと赤を、赤色を、染めて、染める、染め上げた。  さて、今夜の赤は綺麗なのか、それとも――。
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