一話:眼帯少女(ガンタイショウジョ)

9/9
21人が本棚に入れています
本棚に追加
/103ページ
「さて……、あなたと私、“佐伯 朋”と“安海 しをり”。  この出会いは偶然かしら?  それとも、必然なのかしら?」 「……え……え?」  俺のその戸惑う反応に対し、不適に笑みを浮かべていた安海さんは少し困った顔をして首を(かし)げだす。 「おかしいわね、このセリフあなたのセリフをそのまま言ったのだけれど……。  あの時(・・・)あなたは必然だと言ってくれたわ」 「……は…はいっ? えっ!?」  本当に謎で、まるでゴールの無い迷路のような女性である安海さん。 「そうね、ええそうだわ。  今回のあなたとの出会いも必然ね。  そうだといいわね……、そうだと私は嬉しいわ」  安海さんはそっと歩き出し、俺の隣の空いた席へと座り鞄を机にかける。  そして妖艶(ようえん)で不適で不気味に、また笑いながらこう言うのだ。 「これからよろしくね。  ………朋くん」  こうして、本日。  このクラスに眼帯をつけた少女、安海(あずみ) しをり という転校生がやって来たのであった。                    つづく
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!