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「さて……、あなたと私、“佐伯 朋”と“安海 しをり”。
この出会いは偶然かしら?
それとも、必然なのかしら?」
「……え……え?」
俺のその戸惑う反応に対し、不適に笑みを浮かべていた安海さんは少し困った顔をして首を傾げだす。
「おかしいわね、このセリフあなたのセリフをそのまま言ったのだけれど……。
あの時あなたは必然だと言ってくれたわ」
「……は…はいっ? えっ!?」
本当に謎で、まるでゴールの無い迷路のような女性である安海さん。
「そうね、ええそうだわ。
今回のあなたとの出会いも必然ね。
そうだといいわね……、そうだと私は嬉しいわ」
安海さんはそっと歩き出し、俺の隣の空いた席へと座り鞄を机にかける。
そして妖艶で不適で不気味に、また笑いながらこう言うのだ。
「これからよろしくね。
………朋くん」
こうして、本日。
このクラスに眼帯をつけた少女、安海 しをり という転校生がやって来たのであった。
つづく
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