一話:眼帯少女(ガンタイショウジョ)

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───五月一日。  俺は、夢を見た。  俺の目線の先には、明るく元気に走っていく女性が一人。  肩下ほどまで()びたその綺麗な茶髪の髪を揺らしながら、その女性は俺の前を笑顔で走っていく。  俺と同い年くらいだろうか、その女性を見ているとすごく心が温かくなる。 「(とも)っ! 早く早くっ!!」  女性は少し先で振り返り、柔らかく、そして温かい笑顔で俺の名前を呼ぶ。  なぜだろう。  その女性を見ていると(なつ)かしく、そして悲しくもなるのだ……。  俺の……、大切な人。 「朋ってばーーっ! 早くーーっっ!」  その女性はそう言いながら先へ先へと走っていく。  俺の足は動こうとはしなかった、それはなぜだろうか分からない。  彼女は、いったい誰なのだろうか。  彼女を追いかけて誰なのか聞きたい、教えてほしい。  キミはいったい──── 「朋ぉっっ! 早くって言ってんだろがぁっ!」 『ドゴォォッッ!!!』 「おぶぅっふぉぁっ!!」  朝、宿敵とも言える五月蝿(うるさ)い目覚まし時計ではなく、お腹に物凄い衝撃を喰らって俺は目覚めるのである。  これはなにも初めての出来事ではない。  そう、この家に居候して(はや)くも一ヶ月、そのほとんどの朝が「お腹に衝撃を喰らって起こされる」、それが日課になっていた。
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