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その衝撃の元凶とも言える人物は、この家の主人であり従姉妹であり、今では母親代わりとまで言えるだろう。
「ちょっとアンタってばほんとに朝弱いわねっ。
おばさんの言ってた通りだわ~、マジ親戚じゃなかったらアンタみたいな男を預かったりしないわ~。
マジ童貞臭いわ~」
「童貞は関係ないだろ……ミカ姉」
彼女の名前は佐伯 美夏。
年は俺の二つ上の従姉妹である。
この春、ある理由で高校を転校することとなった俺を、喜んで預かってくれた姉のような存在だ。
ミカ姉とは中学卒業まで一緒に住んでいた為、俺は本当の姉のように思っているし、ミカ姉も本当の弟のように慕ってくれている。
しかし、昔は優しく大人しかった人なのだが……。
「いつまでボーっとしとんじゃいっ!
早く学校行く準備して行かんかいっっ!」
『グィィィィィ……』
「いででででっっ、痛い痛い痛いぃっっ!」
今ではボディブローで起こしたり、こうやってホッペをつねって俺をイジめる始末である。
それに、ミカ姉の昔と比べて変わった所は何も性格だけではないのだ。
「痛かった……? 朋……」
「痛いにきまってんだろっ!
まったく……、お起こし方も寝てるヤツにボディブローなんかするかよっ、頬っぺただってもう少し優しくつねろよな────」
「なら……、おっぱい触る?
興奮して痛み治まるかも………」
『ぷにぃっ』
タンクトップ一枚のミカ姉の胸に俺の手を押し当てる。
それはそれで衝撃なのだ。
「ぐぃやぁぁぁぁっ!!
やめろやめろやめろやめろっ!」
「なんでよ~」
「思春期っ思春期っ思春期っ!!
俺、思春期だからぁぁっ!!」
俺はミカ姉の手を振りほどき、そして胸から急いで手を離してミカ姉を部屋の外へと追いやるのだ。
「痛み無くなった~?
ねぇ~、おっぱい柔らかかったっしょ~?」
「うっせっ!!」
ほんと昔は胸なんかまっ平らだったのに、女性の成長とはスゴいものである……。
俺は顔を真っ赤にしながら制服へと着替え、急いで玄関へと向かった。
そんな俺へとミカ姉がニッコリと笑みを浮かべながら側へとやって来る。
「朋、気を付けてね。 いってらっしゃい」
「……いってきます」
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