チョコラティゼ

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 社会人二年目なんて、まだまだ新人に毛が生えた程度だ。  なんとなく雰囲気で掴めてきたくらいの、仕事の要領。今日も含めて、定時までに作業のめどがつかないことなんて多々ある。  田端くんが、会社の女性たちの注目を一身に集めているなんてことは、入社式の時点ですでに把握できた。液晶の画面の中で歌って踊っていそうなルックスをしているのだから、反論の余地はない。  人一倍人懐こい性格をしているということも、とっくに知っていた。  だから、普段から別のフロアで作業していて、あまり接点がない彼がフラリと現れて、「お疲れさま」とチョコレートを差し出してくれたことに、特別な違和感を覚えなかった。  一枚ずつ紙で個包装された、平たいミルクチョコレート。彼の甘ったるい笑顔と一緒に、疲れた心と身体が舌の上でなめらかに溶けた。  彼がわたしに交際の申し込みをしてきたのは、その直後。ほんの一週間前のことだ。 「顔が嫌?」  明らかにおもしろがっている奈津子は、わたしの顔を覗き込んだ。  奥歯でジューシーさと適度な弾力、そして、鼻から抜ける香ばしさを味わいながら、わたしは素直に答える。 「あのアイドル顔、めっちゃ好み」
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