チョコラティゼ

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* 「大丈夫、御園生? 足、ふらついてる」  奈津子に腕を持って支えられる形で、店の暖簾をくぐった。 「大丈夫。頭はしっかりしてるし、意思の力で歩いてやる」  お酒には弱いほうじゃない。それでも、ジョッキの半分以上をウイスキーの原液で満たしたハイボールは、初めて挑戦したけど、なかなかにパンチがあった。グチグチと悩みを抱えているせいも、たぶん、ある。 「御園生さん!?」  アルコールで若干ふわふわした脳内に、まだそれほど懐かしくない声が響く。そんなことあるわけないと思っているから、最初は幻聴かと思った。  声の主は、十メートルほど先にある牛丼屋の前から、ピンクと白のシャツの裾をパタパタさせながら駆け寄ってきた。 「うわぁ、偶然! これって運命じゃない? て、どうしたの御園生さん? 具合悪いの?」  正面に立った田端くんはニコニコしたかと思うと、心配そうに下から顔を覗き込んでくる。  うわぁ、ぜんぜん堪えてねぇ、とのけ反ってからふと隣を見たら、奈津子も似たような表情と体勢をしていた。
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