チョコラティゼ

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「問題なのは性格?」 「悪くない。気が利くし、こっちが心配になるほど優しい。付き合ったら、女子は幸せだと思う。もちろん、その女子の中にはわたしも入る」 「頭の回転が遅い男子は、イライラすることもあるよね」 「これがものすごく手際がいいって噂。脳内できちんとシミュレーションして動けるんだと思う。頭が良くないとできない技だよね。尊敬する。てか、同じ会社にいるんだから、奈津子だって聞いてるはずでしょうが」 「あ、人気があり過ぎるのがだめ?」 「まぁ、心配な要素の一つにはなりえる。常に敵がいる状態のわけだから。油断できない。でもさ、学生時代にはサッカーで活躍してたとか、ギターが弾けるだとか、イケメンの要素がとにかくボロボロ出てくるの。人気者なのは当然だし、そこまでだともうそこは目をつぶる。つぶらせてくれ」 「むしろ、なんでこんなに嫌われてるんだオレはっていう、田端くんの心の声が聞こえてきそう」  奈津子はテーブルに向かって噴き出した。  和風で重厚感のあるテーブルは、食卓と呼んだほうがしっくりくる。しぶきが飛んだらしく、奈津子はおしぼりで自分の手前をサッと拭いた。 「身長が低いことも、ついでに目をつぶってあげなよ。その他は完璧じゃない」  わたしは、咀嚼した皮を飲み込んだあとで、唇を曲げる。
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