チョコラティゼ

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 そうなのだ。彼は、身長がわたしより低い。  でも、スポットライトを浴びて活躍するキラキラアイドルたちは、あのくらいの背丈がむしろ一般的。どちらかと言うと、わたしが平均的な女子のサイズを上回っているのだ。  イケメンは好き。紳士的で、気を遣うのが上手な人も大好き。スポーツが得意なのも楽器が弾けるのも、マイナス要素に挙げる女子なんて少ないはずだ。人気者に好かれるなんて、自身のステイタスになる。 「――――だけどっ、並んで歩くときに、わたしのほうがジャイアントなんて、女子らしさのカケラもなくて、嫌なんだよお!!」  わたしは一気に中ジョッキをあおる。『八号目』と銘打たれたハイボールは、わたしの食道と胃をジリジリ焦がすようだ。  そう。これが、わたしが田端くんを受け入れられない理由。嫌いな理由。彼を見るたびに、わたしはコンプレックスという(やいば)で切り刻まれる。 「まぁねぇ、ただでさえ田端くんは可愛らしい顔してるし。どっちが彼女なんだかって感じにはなるわな」  枝豆に手を伸ばしながら、奈津子はさらっと追い討ちをかけた。
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