第二話 かたより

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私は、何の為にこんなのを書いているのだろう。 パソコンに打ち込まれた文章の中では、女の子と女の子が、甘い甘い恋物語を繰り広げている。 でも、それを書いたのは、女の子と、いや、恋自体、微塵たりともしたことのないような、こんな私。 このお話はフィクション。ただの、創り話。それも、本物からかけ離れたファンタジーだ。 友達のいなかった私は、小説を書くのが趣味になった。中でもここ最近は、女の子同士の恋愛ばかり書いている。 恋愛を意識しないからこその同性同士の距離感から、あろうことか恋愛感情が芽生えてしまう……困惑しながらも、二人は答えを見つけて、そして夢にまで見た二人だけの世界へ……本当に、夢幻である。ただし、私の。 こんな偽物を、ホンモノが見たらどう思うのだろう。 こんな物は嘘だと、嘲られるだけならまだ良い。けれど、もし、馬鹿にされたと感じて、傷ついてしまったら……私は一体、何のために生きているのだろう。 わかんない。わかんないよ。 昨日、由美に「好きかもしれない」って言われた。 私は、怖かった。もしかしたら由美が、私から離れちゃうんじゃないかって。 だから私は、「とりあえず、しばらくは友達を続けよう。」なんて言う彼女に、頷いてしまった。 だから私は、由美に秘密を伝えることを辞めた。 私は、ずるい。私は、汚い人間だ。 独りきりの部屋で、私の心は底なしの沼に沈んでいった。
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