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第十章 アキヒトの決意
それから盆休みまでの約二ヶ月の間、
できる限りの節約を心がけて金を貯め
アキヒトは二人分の新幹線の往復券を買っていた。
ハルカさんには日程を空けておくように事前に伝えている。
母親にもあらかじめ電話を入れていたが、
実家を出て4ヶ月以上過ぎてから
ようやく里帰りをしようと考えていた。
「母さんに紹介したい人がいるんよ。」
そう言うと驚きながら、とても喜んでくれた。
「連れてっていいかな??」
「いいよ。せっかくなら二人で泊まりなさい。」
「ありがとう。」
礼を言って、深呼吸する。
ハルカさんは母親が期待している相手ではないことは
アキヒトも重々承知している。
何も言わなければ彼は女で通るけれど
それでは本当の事を言った事にはならない。
けれどアキヒトは里帰りを機に
勇気を出して打ち明けようと考えていた。
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