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第十四章 カイトの反抗
家に上げてもらい、
亡くなったお父さんにお線香を上げさせてもらう。
「ハルカさん、お線香の上げ方もご存知なのね。」
「ええ、母が姉と自分を産んだ時に亡くなったので。」
と言うと、お母さんが神妙な顔つきになった。
「それは大変だったのね。」
「物心着く前でしたし、後妻さんがすごくいい人で
本当のお母さんと変わらないくらい仲がいいから、平気でしたよ。」
ハルカは微笑みながら言った。
その後改めて自己紹介をすると
「じゃあ、アキヒトのお店の副店長さんなのね。こんなに若いのに。」
と感心されたように言われ、恐縮した。
「そんなに若くもないですよ。今年で29歳になりますし。」
「兄さんより8歳もオバサンじゃねえかよ。」
カイトくんに聞こえよがしに言われる。
「カイト、ハルカさんはオバサンじゃない!」
アキヒトが言った。
「失礼な事、言わないの!」
お母さんもたしなめてくれるが、
ハルカ自身は内心で
“そりゃ男やからオバサンにはならんしなあ。”と突っ込んでいる。
「ごめんね、ハルカさん。」
「大丈夫ですよ。」
にこやかに言うが、
どうもさっきから歓迎されていない空気を感じるハルカは、
ちらりとカイトくんを見る。
やっぱり、目は合わせてもらえなかった。
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