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第七章 警察沙汰その後
後日レイジュ君に電話して、
アキヒトはハルカさんとホストクラブ優へお見舞いに行くことにした。
菓子折りを持って出向くと、
「先日はご迷惑をおかけいたしました。」
と謝られる。
「翔喜さん、大丈夫でした?」
アキヒトが聞くと
「あの人、店辞めたで。」
と、レイジュが返した。
顔に付いた傷はかすり傷だったようだが、
ショックがひどかったらしい。
松井帆菜は警察に連れて行かれ
取調べを受けたのだが、
いろいろ彼女の話を聞いて気の毒になった刑事が
翔喜を諭しに来たらしかった。
「二人とも潮時だったんでしょうね。
帆菜さんも憑き物が落ちたみたいになって、
もう二度と店には来ないからって。」
落ち着いたあと帆菜が謝罪に来たらしい。
翔喜はエースを失ったのと、大事な商売道具の顔が傷ついたのと
後は他にも色々考える事があったのだろう。
しばらく店を休んだあとで、辞表を出してきたのだと言う。
「普通ナンバー1が辞める時は、派手なイベントやるんですけどね
とてもそんな空気やなくて。
本人も辞退したらしいですわ。」
なるほど、そうだったのか。
「そうだったんやね。」
ハルカさんが言いながら、レイジュに菓子折りを渡す。
「良かったら食べて。お店のみんなで。」
「ありがとうございます。
ハルカ姫、美人やし気が利くし、最高やな。」
レイジュは言いながらアキヒトを見る。
「こりゃ結婚も近いかな?」
「もう!嫌やわ!」
無言になったアキヒトを尻目に、
ハルカさんがレイジュの背中を思いっきり叩いた。
「痛い!ハルカ姫のバカぢから!」
「あはは、ごめーん。」
二人の会話を聞きながら、改めて結婚と言う言葉について
アキヒトは考えていた。
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