企画課のおんな

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園田香子は今は企画課のオフィスだ。 自分のデスクに向かって椅子に腰かけている。デスクの上は綺麗に整頓されている。見ず知らずの人が見れば、このデスクの持ち主はとても仕事が出来る人物に違いない、そう思うかも知れない。実際、そうなのかも知れない。 園田香子は両手を大きく広げて、背中を伸ばした。そしてゆっくりと口を開けた。これはあくびをしている仕草だ。周りの目もはばからず、あくびをする、彼女は肝が据わった人物なのかも知れない。 そして園田香子は自分の左肩をトントンと軽く叩いた。企画課と言えども所詮はデスクワークだ。じっと椅子に座っていることには変わりはない。肩ぐらい凝って当たり前だ、彼女はそう思っている。 園田香子は自分の左指をまじまじと眺め始めた。そしてそれに右手を覆いかぶせて、ぽきぽきと指の骨を鳴らし始めた。これは普段は決してやることはない、月に一度くらいだ。なぜならば、指の骨を鳴らすと指が太くなる、彼女はその話を信じているからだ。 だが園田香子は何も心配してはいない、そして周りの目も気にしてはいない。 別に彼女が下品と言う訳ではない、ただ今週はこの企画課はそれほど予定が詰まってはおらず、ここぞと言うばかりに同僚たちは有給休暇を取っているからだ。 要するにこのオフィスにいるのは、この園田香子だけなのだ。
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