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まあ、彼女がやりたいことだしいいか。
早速ゴーグル型ゲーム機を装着し、コントローラーを握る。地図のような表示に、チカチカと光っている所がある。彼女が最後に終えたステージ的なやつだろう。難しそうだ。
そんなことを思いつつ、カーソルを動かそうとボタンに手を置いた――
「ひゃぁっ!?」
ポチッ
ひんやりと冷たい手で触られて、変な声が出てしまった。
「そ、そんなにびっくりするとは思わなかったの!ごめんね!」
「い、いや、大丈……夫」
ん?“ポチッ”?
ボタンを押したような感触を思い出して、目を開けてみた。
先程の光景から一変、塀のように整った高い木が並んで出来た一本道にいた。
「ボタン……押しちゃったみたい」
「あっ……」
「なんか、迷路みたいな所にいるんだけど、どーすればいいの……?」
不気味な静けさ。誰もいないのか、プレイヤーらしき人影は見当たらない。物陰から何か出てきても不思議ではないような雰囲気だ。
左右を見渡してみる。体制をちょっと崩して後ろも見てみる。
……誰もいない。
「そのステージはゴールに着けばクリアだから、まぁ、暮羽君にもクリアできる可能性はあると思うよ……?」
「……1度もモンスターと遭遇せずに迷わなければ」
モンスターと戦うゲームに、迷路。
……確実に戦う、これ。
「それって無理じゃない?」
「頭のいい暮羽君なら、、、いけるっ☆」
「それ関係ないよね!?」
「だいじょーぶ!!」
「とりあえず壁に沿って歩けばいつかはゴールにつくよね」
コントロールバーに指を置いて、進んでみる。壁を伝うというか、つんのめるというか……
とりあえず斜め右上に倒すと、バリバリバリと謎の大きな効果音と共に、ゲージがじわじわと減っていった。
「壁に触ると体力激減するから気をつけてね」
「それ先に言ってくれると有難かった」
壁は触っちゃダメだとわかったけど、操作が難しい。どうしても壁に当たり、少しずつ、バリバリとゲージが減っていく。あれ?どうすればいいんだ?一応進んでいるし大丈夫かな?
視界もなんかおかしい。微妙に下を向いているし。僕がもっと上を向いてやらなきゃだめなのか?真っ直ぐ向いているはずだけど。
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