第一話

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まあ、彼女がやりたいことだしいいか。 早速ゴーグル型ゲーム機を装着し、コントローラーを握る。地図のような表示に、チカチカと光っている所がある。彼女が最後に終えたステージ的なやつだろう。難しそうだ。 そんなことを思いつつ、カーソルを動かそうとボタンに手を置いた―― 「ひゃぁっ!?」 ポチッ ひんやりと冷たい手で触られて、変な声が出てしまった。 「そ、そんなにびっくりするとは思わなかったの!ごめんね!」 「い、いや、大丈……夫」 ん?“ポチッ”? ボタンを押したような感触を思い出して、目を開けてみた。 先程の光景から一変、塀のように整った高い木が並んで出来た一本道にいた。 「ボタン……押しちゃったみたい」 「あっ……」 「なんか、迷路みたいな所にいるんだけど、どーすればいいの……?」 不気味な静けさ。誰もいないのか、プレイヤーらしき人影は見当たらない。物陰から何か出てきても不思議ではないような雰囲気だ。 左右を見渡してみる。体制をちょっと崩して後ろも見てみる。 ……誰もいない。 「そのステージはゴールに着けばクリアだから、まぁ、暮羽君にもクリアできる可能性はあると思うよ……?」 「……1度もモンスターと遭遇せずに迷わなければ」 モンスターと戦うゲームに、迷路。 ……確実に戦う、これ。 「それって無理じゃない?」 「頭のいい暮羽君なら、、、いけるっ☆」 「それ関係ないよね!?」 「だいじょーぶ!!」 「とりあえず壁に沿って歩けばいつかはゴールにつくよね」 コントロールバーに指を置いて、進んでみる。壁を伝うというか、つんのめるというか…… とりあえず斜め右上に倒すと、バリバリバリと謎の大きな効果音と共に、ゲージがじわじわと減っていった。 「壁に触ると体力激減するから気をつけてね」 「それ先に言ってくれると有難かった」 壁は触っちゃダメだとわかったけど、操作が難しい。どうしても壁に当たり、少しずつ、バリバリとゲージが減っていく。あれ?どうすればいいんだ?一応進んでいるし大丈夫かな? 視界もなんかおかしい。微妙に下を向いているし。僕がもっと上を向いてやらなきゃだめなのか?真っ直ぐ向いているはずだけど。
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