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「冷やせば大丈夫だと思う」
待っていろとフェラルドは部屋を出て冷やしたタオルを手に戻るとそれを肩に当てた。
「ごめんなさい。結局、フェラルドに迷惑をおかけしてしまって」
肩を落とし項垂れるルージェの頭に手をのせかき混ぜる。
「迷惑なんかじゃない」
「でも」
「良いんだ」
と頭を撫でれば笑顔を向けてくれた。
「それにしても……、意外とせっかちなのだな」
「いえ、あの、フェラルドが私に用事を頼んでくれたのが嬉しくて、良い所を見せようと焦ってしまいました」
ドアが開き斬る前に突っ込んでいってしまいましたと恥ずかしいと頬を赤らめる。
自分に良い所を見せようとして張り切る姿がとてつもなく愛おしい。
こんなに可愛らしい人だったのかという事を知ることが出来て、今日はとても良い日だとフェラルドは思った。
「焦らなくていい。ゆっくり自分のペースで良いんだぞ」
「はい」
もう平気だからというルージェだが、紅茶はまたの機会でということになり。その後は他愛もない話をして時間を過ごす。
そのうち隣でルージェがうとうととし始めて。
「もう休め」
とその身を抱き上げてベッドへと運んでいけば、一緒に寝て欲しいと甘える様に言われてルージェと共にベッドの中へとはいる。
「おやすみなさい」
その身を摺り寄せて眠るルージェに一瞬ためらってしまったが、その身を抱き寄せれば体温が高く心地よい。
いつの間にかフェラルドも眠りへと落ちていった。
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