黄昏の君

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禁忌の扉の先に踏み込むべきか、踏み込まざるべきか。 暁は暫しの逡巡の末、禁を犯す決心に至った。 主の落とした宝飾を直ぐにでも届ける事が従順に勝る大忠と判じたのである。 そして、もしも咎めを受けるならば、それもまた致し方なきことと覚悟を決めた。 暁は飾留を丁重に拾い上げ、人の背丈を優に上回り、人の胴を二つ重ねた程の厚さを持つ扉の向こうに足を踏み入れた。
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