『おやすみラフマニノフ』中山 七里 先生

1/1
前へ
/10ページ
次へ

『おやすみラフマニノフ』中山 七里 先生

キャラクター(主人公) ★★★★ キャラクター(サイド) ★★★★★★ 共感度         ★★★ ストーリー       ★★★★★ ミステリー性      ★★★ 驚き          ★★★★ 勉強になる表現・文章力 ★★★★★★ 2020/1/18 お久しぶりです。自動的に休載設定になってしまったほどご無沙汰しております。 現在は完結しております長編『Another world』の推敲と、小説の通信講座の課題に取り組んでおりました。 『Another world』はボーイミーツガール大賞に応募しておりましたが、完結しないうちに落選が決定したため、スターツ文庫出版大賞へ応募しております。 長期間推敲に苦しんだので、どうにか結果に繋がって欲しい! 小説の通信講座では、公募に応募する想定で梗概を3作品書きました。これが3回目の課題ですが、これまでの2回分の講評はまあボロクソ。だけど的のど真ん中を射たご指摘。 毎日毎日3作品分の構想に明け暮れ、批評に恐れながらも仕上げた課題なので、こちらもそろそろ認められたい! 久しぶりの更新なので、前置きが長くなりました。 中山七里先生3作品目。読書日記に投稿するのは2作品目(そういえば『連続殺人鬼カエル男』の投稿忘れてたな、、、)。 『さよならドビュッシー』の次作品です。 主人公は音大の男子学生。しかし、シリーズの最重要人物は探偵役のピアニスト・岬洋介。 物語はずっと男子学生の一人称で進行するため、岬洋介の登場場面は多くありません。 読んでいて待ち遠しいお助けキャラ。様々な葛藤を抱える主人公や利己的な周囲とは次元の違う、冷淡かつ情熱的な孤高の存在。前作の『さよならドビュッシー』でも圧倒的な魅力を放っていました。 こういう人物が、魅力的なキャラクターと言うんですね。分かっても簡単に書けるものではないことを同時に痛感します。 この作品で最も印象的だったのが、巨大台風直撃のため主人公と岬洋介が避難所に集ったシーン。土砂崩れも起きているなか、一部の住民は家や店の様子を見に行くと言い出し、それを止めようとする住民との揉め事に発展します。 そこで岬洋介が主人公に持ちかけたのが、舞台に上がって音楽を演奏すること。岬洋介の伴奏に合わせて、主人公はバイオリンを弾きます。 演奏の描写は何ページにも渡っていました。曲を一節一節文章化しているような分量で、その曲を知っていない身からすれば、いつ終わるんだろう、、、と、正直読むのがしんどかったです。 ただ、曲は知らなくても演奏する二人の映像が目に浮かんだり、一節の最初の音が想像できたりする表現力は圧巻でした。自分が演奏しているかのように、主人公の心情にも自然に同調できます。 演奏終了。予想どおり(・・・・・)、住民たちは争いを忘れ、二人に盛大な拍手を送ります。しかし、不思議と皮肉に予想していた結末は、違和感なく見事に物語の流れに馴染んでいたのです。 小説はご都合主義になってはいけないといいますが、何ページにも渡る、一文にも手を抜かない表現力が、「どうせハッピーエンドなんでしょ」という皮肉を圧倒することを学びました。 この作品の主軸はミステリーですが、それを忘れるほど、主人公たちの音楽に対する熱意が描かれます。ああ、いい青春作品だった、と思ったころで、ミステリーの種明かし、どんでん返しが畳みかけられる。 (ミステリーの部分は私的には少々物足りなかったので★★★) シリーズ作品はまだあるので、次も必ず読みます! (次は作品に出てくる音楽を聴きながら読んでみようかな)
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加