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アカの日
「ピリリリ!」
アラームの音に叩き起こされて、ベッドから飛び降り急いでリビングに向かった。
「みのり!あんた遅刻ギリギリじゃない?朝ごはん食べる時間あるの?」
母の元気な声により、一層目が覚まされる。
「うん、駅まで走れば大丈夫!いただきます!」
白米と味噌汁と焼いたソーセージという和洋折衷な朝食を口に放り込みながらテレビに目を向ける。中堅と大御所の間くらいのキャリアのお笑い芸人が司会を務める情報番組が進行中だった。
「芸人は声も大きいしテレビ慣れもしてる、話の中で笑いも取れるから、気軽に見れる情報番組では重宝される存在になったんだな」と父が食後のコーヒーをすすりながら呟いた。
朝食を掻き込み終え、私も食後の牛乳を流し込みながら天気予報のコーナーに変わったテレビに目を向ける。
「続いてはお天気です。本日は東日本の山間部を中心に強めの雨となりますが、そのほかは全国的に晴れの日が多く、気持ちの良いお天気になるところが多いでしょう。しかし、関東地方の一部地域では午後からアカになるところがありますのでご注意ください」
私は思わず大きな声を出してしまった。
「えー!今日アカなの?昨日までの予報と違うじゃん!最悪だー」
学校を終えたら友達と買い物に行くつもりだったのに、相談して計画を立て直さなければいけなくなった。
「なんだ、今日は午後からアカか。なら社内の飲み会は行かずにさっさと帰ってくるかな」
父は冷静に現状を受け止めている。それに対し母がニコニコしながら言う。
「あら、お父さんが早く帰って来るなら毎日アカでもいいいのにー」
「バカ言うなよ、毎日アカなんて気分が滅入って仕方がない。仕事にもならんよ」
母はアカなんてあまり気にしていないようだ。おそらく午前中に家事を全て済ませて午後は家でダラダラするつもりだろう。
「みのり!もう時間ヤバイんじゃない?傘持ってってね!」
母に急かされ靴を引っ掛けて家を出た。
走ればギリギリ電車には間に合うだろう。あぁ傘が邪魔だ、ホントにアカの日は気が滅入る。
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