ノームの身の上話

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 私たちなら、いくら耕しても肥えない畑で野菜を作ることができます。私たちが念じながら毎日土を手入れしてやることで、何もない状態から大体三日ほどで根菜や葉菜、キノコまでもが育ちます。  私たちノームは、役目を終えられた老人様が、王宮の外でも食に苦労せず安らかに暮らせるよう、せめてもの情けで与えられた、召使いというわけです。  でも、ご主人様はいい人ばかりです。実の子供のように、私たちに接してくださいます。  地上での生活は、それはそれは幸せです。  ご主人様が亡くなったとき、悲しみから、私たちは自ら死を選びます。  ノームは不老不死ですが、太陽の光を浴びると身体は土になり、地下へ還るのです。余談ですが、そのような体質のため、洗濯物は夜の間に外に干して、翌日の夜に取り込みます。畑での作業や牛の乳搾りも、夜か、雨の日に行います。
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