ノームの身の上話

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 ご主人様の死後、また新たな住人がやってきたとき、その土地に選ばれたノームだけが土の中から蘇ります。  土の中には、今も数体のノームが眠っています。  長い間ずっと暗闇で眠っていると、時間の感覚が分からなくなります。  次に目覚めたとき、それは土に還ってから十年後なのか、百年後なのか、回りに回って過去なのか。  この国の情勢が一向に変わらないので、分かりようがないのです。  一つのご家庭に仕えるノームは、大抵三体です。  ノームの身体は小さく、身長はご主人様の三分の一ほどしかありません。なにより体力がないので、家の掃除をするにも広い畑を耕すにも、三人が連携しなければ勤まりません。  私たちは土から生まれるため、性別という概念はありません。見た目も小さな老爺のようでほとんど見分けがつかないため、ご主人様は私たちに最初に与えてくださった衣類の色で判別されます。  ただ、すべてのノームが同じというわけではありません。  人間様と同じように、三種類に分けられます。  最初から、すべての才能を兼ね備えた者。  才能がなく、最後までできない者。  才能はないが、努力によって実力を手に入れた者。
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