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今どきの園児たち
「りゅうくん、昨日検察官のドラマみたー?
最後どんでん返しでさ、やっぱあの女性検察官がラスト20分くらいになると何か見つけ始めるんだね。追求する場面、カッコよかった!」
大人でも出来そうな会話を今どきの園児はサラッとこともなげに言う。
上に兄弟がいる園児たちはドラマが終わったあとも更にそのあと携帯ゲームをやり、11時ころになって親に注意され、やっと床につく。
「おっはよー、サラちゃん」
「あ、ほら、すみれ先生よ」
「せんせーおはようございます!」
サラの親は笑顔で会釈する。
「今日は朝からいい天気で良かったですねー」
「そうですねー、昨日は不安定な天気でしたもんね」
大人たちは靴を履き替えるサラを見守る。
「サラちゃん、お母さんにありがとは?」
「あーりーがーと!」
「じゃあね、いってらっしゃい」
パタパタ……と中に入って早速友だちと遊び始める。
「宜しくお願いします」
そういってサラの親は我が子の姿を見つつ、ホッとした表情で帰っていった。
園児たちは、持ってきたお弁当は来てすぐにストーブの周りに置く。置き場が決まっている。
すみれは毎朝クラス全員分の弁当箱があるか数を確認をし、数が合わないときは忘れてきてないかみんなに問いかける。もし忘れた場合は担任が弁当を買ってくるなどしなければならないからだ。
「今日は大丈夫」
お休みもなく全員揃っている。弁当の数も。
この幼稚園では朝イチでお歌の時間がある。
今どきの園児はストレスを抱えている子も少なくない。見つけられない隠れストレスをこの場で発散して健やかに過ごしてもらえるよう、毎朝先生がピアノを弾いて大きな声で歌を歌う。
♫せかいじゅうーのこーどもたちぃーが
いちどにーわぁらあったらーー♬
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