小さくて丸いこころ

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小さくて丸いこころ

 みずほ先生がタオルを顔に優しくあててあげると、ヨウスケはそれで顔全体を覆った。  ヨウスケの泣き声を聞きつけ、りす組の園児たちが次々と園長室に集まってきて〝ゴメンね、ゴメンね〟といくつもの言葉が重なる。  みんなが集まってきて恥ずかしくてタオルを外すことが出来ない。みずほ先生はしゃがんでヨウスケと目線の高さを合わせ頭をそっと撫でると、ヨウスケはタオルを少しずつズラした。その目は真っ赤だけれど口元はやや笑っているようにみえた。 「ありがとう、わかってくれて。  えらいね、ヨウちゃんは」  その光景に園児たちは拍手をし、ヨウスケのまわりには笑顔がこぼれる。  ほんわかと温かい空気の流れる園長室の裏側では、1人の先生がまだ闘っていた。 「うわぁーーッ! 生きてる、動いてる! ダァーーッ! 上履きの中に丸いのッ!」  りす組の教室では、園児たちがいない空っぽの部屋にすみれがひとり。怖くて急いでほうきで掃くとコロコロと転がっていくダンゴムシ。勢い余って壁に跳ね返り自分のとこに戻ってくるダンゴムシ。 「ギャーーっ!」  大パニックで後片付けをしてたのは言うまでもない。
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