今どきの園児たち

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 しばらくしてヨウスケはみずほ先生に連れられて戻ってきた。みずほ先生は各クラスの補助要員として配置されていて、どのクラスの子供達にも人気がある。  ヨウスケはみんなの前で立ち止まり、眉間にしわをよせて納得していない表情をみせた。  りす組のみんなはそんなヨウスケに向かって揃って「ごめんなさい」と大きな声で謝ったが、それでもヨウスケはまだ納得した顔をしない。  すみれだけがこれで何とか治まったとホッと胸をなでおろす。お昼ご飯のタイミングを逃したヨウスケは園長が特別に、職員室で大人メニューのお弁当を食べさせこの件は終わったようにみえた。  この幼稚園では午後は外に出ておにごっこなどで園庭を思い切り走り回る楽しさを教えてあげている。  今のこのご時世、外で思い切り走る場所も少なくなってきて、ボールあそびが禁止されてる公園も多く、子供の自由奔放な持ち味を封じ込められてる気がしてならないと、この幼稚園では広い園庭を思う存分に走り回る、あそびの時間を多く取るようにしている。  すみれは外の掛け時計をみて、そろそろお帰りの時間が近づいてきたことを知った。みんなをクラスに戻すと、さっきあんなに探していたサッちゃんのお弁当箱が、ストーブと柵との間に挟まっているのを園児が見つけた。 「あーー! これ弁当箱じゃない?」  ストーブの周りに集まる園児たちがサッちゃんに教えた。 「あ、ほんとだぁ」 「あらやだ、こんなところ気がつかなかったわ 。でも見つかって良かったねー、サッちゃん」 サッちゃんは嬉しそうな表情で中身のある重たい弁当箱をリュックにしまった。  外は迎えにきた保護者がお母さん同士のトークで楽しくやっている。 「せんせーさようなら。みなさんさようなら」  保護者の迎えが来てる子は保護者のもとに、園バスに乗り込む子は園バスへと分かれて行った。
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