寂しさの腹いせ

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「たまき先生、どうしましょう」 他のクラスの先生方が園児とすみれ先生の様子を困惑した表情で覗いていた。 「そろそろカバンの中身も終わりみたいですよ、園長室に連れて行きましょうか」  ハァ……ハァ……。 ヨウスケは苛立ちをぶつけて満足気にみえた。 「お前らがオレのせいにするからだ!   お前らがわるい!」 小さな体で一生懸命訴えた。  たまき先生がヨウスケの肩を支えて園長室へ連れていこうとすると、ヨウスケは抵抗した。 「これでもまだ投げたりないんだ!」 するとたまき先生の背後から現れたみずほ先生が、ヨウスケに近づきしゃがんで目線を合わせた。  目を見て何やらヨウスケに話しかけると不思議とヨウスケの表情も和らぎ、みずほ先生と一緒に歩き出した。 「たまき先生、いちど園長室に連れて行きますね」 そういってみずほ先生はヨウスケと手を繋いで教室を出た。 「やっぱりこういうときに頼りなのはみずほ先生よねー」
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