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ふと気づくと、正面にある少女の肖像画にくぎ付けとなってしまった。
かみの毛の色も、瞳の色も、あざやかな真紅にそまったその少女は、あわいあかね色の衣装に身を包んでいる。
けれども、その燃えるような紅の姿とはうらはらに、女の子の表情はどこか、さみしそうだ。
どうしたんだろう。この子は。おなかがすいたのかな。それとも、どこか痛いのかな。それとも、わたしと同じでひとりぼっちなのかな。
わたしは、じっとその女の子の瞳の奥をのぞきこんだ。すると、その絵の中にいるはずの真っ赤な少女もわたしの瞳の奥を、まばたきもせずにじっと見つめ返してきたのだった。
とつぜん目の前が、真っ赤にそまったんだ。
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