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あとのまつり
四月三十日。
僕は遠足が楽しみみたいな子供のようになかなか寝られず、結局寝たのは日が変わってからだった。
だから、少し寝坊してしまった。
そのため頑張って倍速で動いた結果、待ち合わせの十五分前に着くことができた。
間に合ったことにほっとしながらゆきを待つ。
五分。
十分。
十五分。
約束の時間になっても、ゆきは来ない。
まあ、ゆきのことだから多少は遅れるだろうと思って余裕のある時間にしたからまだ平気だ。
ゆきは三十分経っても一時間経っても来なかった。
僕はゆきの携帯に何度も電話するけど、一度も出ない。
何かあったのだろうか。
僕が一旦、ゆきの家に行こうかと思っているとスマホが震えた。
電話をしてきたのは、母さん。
学校をサボったことを怒っているのだろうか。
それについては昨日、説得したはずだけど。
僕は電話に出る。
「誠、ゆきちゃんが──」
僕はスマホを落とした。
カバーのおかげでスマホの画面は割れない。
でも、僕の心は割れた。
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